帝塚山大学 文学部 特殊講義「夏目漱石から学ぶ」

日付: 2017年11月17日(金)
場所: 帝塚山大学 奈良・東生駒キャンパス9号館
主催:帝塚山大学 文学部
講演者: ノブレスグループ 代表 / 公益社団法人ソーシャル・サイエンス・ラボ 専務理事 川井 徳子
聴講者: 帝塚山大学 文学部 学生32名

2017年11月17日(金)、帝塚山大学文学部で川井徳子が「夏目漱石から学ぶ」をテーマに特殊講義を行いました。

 

帝塚山大学文学部は、学生のキャリア教育の一環として特殊講義「文学部の学びと将来設計」を設けています。
私は文学部学生の皆さんの今後の活動やキャリアにヒントを与えるゲストスピーカーとして、本講義の依頼をいただきました。

 

近年、大学での学びは「実学志向」です。

日本大学には「危機管理学部」、大阪工業大学には「知財管理部」などが誕生し、現代の企業が抱える課題のスペシャリストを大学が輩出する動きは時代の流れですが、ひょっとすると私や文学部の学生の皆さんが学ぶ「文学」については、進路選択の際、ご両親や高校の先生に「就職するときに有利じゃない!」「虚学だ」と反対されたかもしれませんね。

 

私は大学で文学を学んだ学生の皆さんの先輩として「私も文学部出身ですが、企業の経営者になりました」「私の経営には、文学や歴史を学んだことが個性となって、生きています」というメッセージを伝え、皆さんの現在の学びが、将来のキャリアの基盤となるというエールを贈る気持ちで登壇しました。

そして若い学生の皆さんの講義の反応は、私の経営者としてのマーケティング活動の大きな資源です。

 

聴講者は帝塚山大学文学部の学生32名。

講義は「私も文学部出身です!」とフレンドリーにスタート。 私自身の活動にも触れ、ビジネスパーソンとしてどのような仕事をしているのかを交えて自己紹介をしました。

 

 

講義本編では「文学の大切さ」についてお話ししました。

人々がどのように暮らし、どのように生活をしているのかを文学史を通して理解すること、またビジネス世界にどのような影響を与えているのかを私の体験を通して伝えました。

 

【講義本編より抜粋】

 

・経済学などの知識は、独学で得たものですが、もともと文学が好きだったことが大きく影響しています。文学部の学生の皆さんは文章を読むこと、本を読むことが苦痛ではないと思います。自分ひとりで本と向き合う力を持っています。文学以外の知識についても自身で習得できます。

・昨年、夏目漱石の没後100周年に合わせ、「漱石の妻」がオンエアされました。

 そこに描かれていた夏目漱石に衝撃を受け、夏目漱石という人物像に興味がわき、調べていくうちに「社会と自分」という講演集を見つけました。

 この講演集を通して、英文学を勉強していた夏目漱石の日々の悩みや孤独、新しい文学の概念を作り上げることのプレシャーや苦闘など日本文学史の巨人、夏目漱石の人生を「立体的に見ること」ができました。

・後に続く文学者として世界に影響を与えたのは川端康成、カズオ・イシグロについて。日本の美、「もののあはれ」そして日本の価値観を世界に伝えたキーパーソンの考えは、観光業を営む私の新たなヒントとなっています。

 

 

 

講義のまとめでは、文学部で西洋史を専攻していた私の経験から「さまざまな分野を歴史的視点でとらえてきたこと」そして「文献や資料、書籍を読むのが好きだったので、仕事をする上の基盤として”物語力”を大切にしている。文学部の皆さんもぜひたくさん本を読んで知識を蓄えてほしい」と学生の皆さんにメッセージを送りました。

 

文学部の学生の皆さんの学びは、将来の人生の「軸」となり、幅広い教養の上にこそ専門性=メジャーが成り立つといういうことが伝わったでしょうか。

皆さんの社会での活躍を心より応援しています。

 

【講義を受講した学生の皆さんのアンケートより抜粋】

 

・物語をつくることがビジネスにつながるということがとても新鮮で感銘をうけた。

・その土地の歴史を知って、それに合った再開発をするというお話に興味がわきました。

・色々な切り口から物事をとらえることで、まだまだできることがたくさんありそうな気がしました。

・地方創生が自分の国の発展につながるということがよく理解できました。

・新しい考え方を教えていただきました。