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2017年07月21日(金)

【長期シリーズ】「サピエンス全史」と「虚構」

“貨幣や宗教は虚構”「サピエンス全史」ユダヤ人著者が語ったこと。

https://www.buzzfeed.com/jp/sakimizoroki/sapiens-interview?utm_term=.peVAkvJO0#.sxjqKBpyA

 

この解説にもあるように、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏、オバマ大統領が絶賛したとのこと。遅ればせながら、この三連休に読んでいます。

 

おもしろいと言えば、おもしろいが「与太話」壮大な「ほら話」でもあります。

 

特に、霊長類学になじみがある日本人なら、この突如とした「虚構」や「神話」をテーマとした科学の仮面をかぶった文明論そのものが、実は「壮大な神話」かもしれないと感じるでしょう。

 
著者自身が、読者を「虚構」に導こうとしている二重構造が仕掛けられているのかもしれません。
信じるものは救われる!かも(笑)
というのも、著者ユヴアル・ハラリは「なぜサピエンスが『虚構』を造りだし、共有するようになったのか」という重要なポイントについて何の答えも用意していないからです。

一方で、この本はある一定の影響力を与えるかもしれません。なにせ、読み物としてはおもしろいからです。このインタビューもおもしろそうだと思わせる内容ですよね。

ですので、皆さんには、この本のおもしろさと同時に、問題点について少しずつ解説していきたいと思います。

一度に解説するのは難しいので、本日はまず一つ目「虚構」と「農業革命」に絞って解説します。

 

この文明論に挑むには、一定の根拠が必要ですね。
そこで、以前の経験から

 

 

21世紀塾にて河合雅雄先生からサル学、京大の霊長類学についてじっくりお話を聞く機会がありました。

 

簡単に霊長類を説明すると

・ほ乳類(牛・馬・犬等)と霊長類(サル・チンパンジー等)は異なる
・ほ乳類は二次元で生活するが、霊長類は樹上生活をすると同時に、木から木へと移動する
・犬などは、眼は顔面で横についているが、霊長類は正面を向いており、三次元を把握できる
・手が樹木をつかむように出来ている
・鳥類コウモリ等と同様に三次元移動できる
(猫類は樹上に登れるが、サルのように樹から樹への移動ができない)

 

結論

霊長類はほ乳類が平面的な空間把握しかできないと異なり、三次元を把握認識でき、ほ乳類と別の分類とすべき

 

質問

塾では河合先生に直接お話をお伺いしました。

人類は森からサバンナへ出ました。
三次元を把握する力をって、二次元空間に出た人間について考えてみると、二次元だが三次元が見えている。
そうすると、ライオンに追いかけられても樹上に逃げる力もあるし、シカなどの動物を仕留めるのに、崖の上からものを落とすという仕留め方もわか

つまり、三次元という見えない軸を持った人間は、四次元という見えない軸を見る力を持ったのではないですか?

 

先生のお返事
おもしろいい。研究してみませんか?

 

科学的思考
この考え方を外挿と言います。
生物進化がこのように進むのであれば

ほ乳類霊長類人類
二次元三次元四次元?

既知の資料から、未知のことを推測、予測することで、科学や合理性に基づいた議論を進めるにあたって重要な手法の一つです。

 

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ハラリの著作に決定的に欠けているのは、生物進化の議論ではないかと思います。ですので、この著書は「トンでも」だと私は考えます。
 
一方、文明論として、人類はどこに向かおうとしているのか、ということに人々は不安を持っています。明日が見えないことに対して、一つの提案を出そうという彼の心意気は認めてあげたいと思います。

 

著者のノア・ハラリの「虚構」とは、VRバーチャルリアリティの事を言いたいのだろうと思います。
VRバーチャルリアリティ」とは見えないものを見たり、想定する力のことです。

 

では、人類はいつからその力を持つようになったのか。

 

仮に、農業革命の時から持つようになったとしたら、暦が先を読む力、年間計画を立てる力を重視するようになったからかもしれません。しかし、もっと以前の生活、農耕が始まる前の狩猟採集民族が、時の概念を持っていたら、「農耕革命が『虚構』を産み出したという説は間違いだ」ということになります。

 

では、どうすると確認できるでしょうか。

簡単です。狩猟採集民族が「ワナ」を仕掛ける力をっているかどうかです。

ワナは、いまはここにいない動物が、いずれかの時間にやってきて、仕掛けにかかる仕組みです。時間差を利用して獲物を獲得する力です。頭の中で、獲物の通ることを想定すること、まさしく「虚構」VRの力です。

 

ということで、森からサバンナに出た「人類」は、すでに三次元というほ乳類は獲得していない、上下軸を利用して生存競争に勝利しました。そして、長い時間をかけてさらに見えない軸をみる能力を磨いてきました。

 

四次元を把握する、時間の概念が高度化することで「農業革命」が深化していくのです。精緻な暦が、より収穫を増やしていくからです。

 

次回は小麦に乗っ取られた人類の不幸について考えてみたいと思います。

 

では。

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